バチンコで負けたのだから仕方がない。
勝った日は、イーグルをその場に置き去りにし、大手振ってリコにまっしぐらに会いにいけた。
「佐々木君、パチンコって儲かるんだ、私も転職しようかな…」
「そんな甘くないよ。研究も経験もいるし、それに…収支トータルすれば、負けているさ、俺は…また別に仕事があるからやっていけるけどね」
「他に仕事って?まだ他に何かしているの?」
「あぁ、色々ね…詳しくはいえないけど。リコちゃん、転職って?この仕事って、結構給料いいんだろ?」
「うん…一応、基本は時間給だけど、指名とったり、同伴したり、売上上げなきゃ…なかなか大変な仕事なのよ」
「ふぅ~ん、外見よく見えていても、内実は大変なんだね。お金…そんなに入り用な理由でもあんの?」
「私だけなら…そんなお金なんて…大していらないんだけど…」
「?って、誰かいるの?まさか子供とか?」
リコは哀しそうな目で、首を横に振りながら言った。
「子供なんていないわ。私ね…小さい頃から、おばあちゃん子で…おばあちゃん今入院してるの。両親とは訳あって、ずっと離れて暮らしてきたわ」