三十路過ぎの女の悩みにしては…あまりにも幼稚じみた、が、取り分け不純な思惑だった。
二人は、赤ワインでほろ酔い、駅まで来ての別れ際……この恋の展開を、私は大きく期待していた。
佐々木は、期待通りに応えてくれた。
一目気にする事なく、私は、その腕に抱きしめられた。
唇が重なり、舌も重なった。
舌が覚えていた、このお客様は二回目の訪問だと…一度目は恥ずかしさで奥の部屋に引きこもったが…今回は…気持ちよく歓迎した。
恋が…書籍や雑誌で研究した順序通りに発展していく。
このままいけば、処女寺の住職から退く日も近い…と思う。
五回目のデート…今日は珍しく、夕食は軽く済ませようと、ラーメン屋、「面食い」に連れて行かれた。
麺を啜りながら、佐々木は言った。
「今から、面白い場所に連れて行ってあげるよ」
「えぇっ?面白い場所って?」
佐々木は、ニコッと微笑んだ。
もしかして、もしか?
でも……ホテルを…面白い場所って言えるの?
それに、本当にホテルだとしたら…女を口説くのに、こんな誘い方はないよね、ラーメン啜りながらはないよね。
意味不明…私をどこに連れて行くの、佐々木君?