「佐々木君、明日の夜…時間空いてる?」

「明日?いいよ~空いてるよ!」

よかった~ラッキー!

何だ、こんなに心よくOKしてくれるなら、あれこれ悩む必要もなかったんだ。

こんな事なら、相手からの誘いなんか待っていないで、私から早く誘えばよかった。


佐々木は、焼肉が食べたいと言った。

店は、いつもながら佐々木任せ…。

個室に分かれている高級な焼肉屋に入った。

熟成されたその牛肉は、私が今まで生きてきた中で、一番美味しかった。
値段も一番高かった。

母にも食べさせてあげたかった味……。

二件目はワインバーに行った。

佐々木は、色んな店をよく知っている。

まるで、私の遊びの先生だ。

店や酒や食を教えるのと同じようにして、私はこの男に…セックスをも教えてもらうのだろうか……。

未だに処女だとは言いにくい。

告白する勇気なんてない。

きっと馬鹿にされるわ。

きっと笑われるわ。

経験ある演技したとして…果たしてばれずに事は済むの?

それとも、ばれても仕方ないの?

ありのままでいる女の方が可愛いの?

流れに任せるしかないのかな?