気分がすぐれないからと…私は仕事を早退した。

とにかく直也に会いたい、会って話したい。

SMの誤解を…解きたかった。

マンションの前に着いた。

部屋の窓を見上げる。

消灯されていた。

眠ってるのね……。

エレベーターが止まり、私はおずおずと歩き出した。

寝ているところ起こせば、直也の機嫌が悪くなる…そんな事は百も承知だった。

でも、このままでは…もう一秒も待ってられないのよ、一呼吸するのも苦しいくらいで……。

インターホンを押してみた。

何の応答もなかった。

もう一度押してみる。

し~んとしていた。

出掛けてる? それとも、やはり熟睡モード?

でも私は、黄金の鍵を持っている。

こんな時間に、日中に…突然侵入したらきっと驚くだろうな…。

でもいいよね、私は特別の女…鍵を貰った選ばれしチャンピオン…本命の彼女なんだから…こうゆう行為は許される筈……と鍵穴に鍵を差し込もうとした。

   ???

鍵が、鍵が奥まで入らない!

何で!何度も入れ直してみたけど、どうしても入らなかった。