「野田さんだったけ?彼氏とは上手くいってんだ?」
話題がこっちに飛んできた。
「えぇ、私は大事にされているわ」
「そっか…デートすっぽかされた事なんてないんだ?そうだよな…男って…惚れた女との約束は何があっても守るもんな。急な仕事が入ったって、クソ食らえだよ、真剣に惚れていりゃぁね」
そんな哀しくなる事言わないでよね。
じゃ何、私が真剣に惚れられてないって事なの?
どうなのよ!このSM!
私は気分が悪くなってきた。
のにも拘わらず、SMの話は止まらなかった。
料理は美味しいのか不味いのかわからない。
ただ機械的に口を動かし、飲み食べる。
SMに勧められるがまま、ワインが2本空いた。
やがてデザートまて食べ終え、急ピッチで飲んだワインのせいで酔いがまわってきた。
SMが支払いを済ませ、二人は表に出た。
ふらつく足取りをSMに支えられながら、私は無気力のまま歩き出した。
ここはホテル街…何だか妙な気分になったけど、私は直也の女、選ばれし女チャンピオン…例えドタキャンされようが…大事に思われていなくても…他の男に身を任すような女じゃない。
直也に惚れているから…。