SMがきょとんとして、聞いてきた。

「どうした?何かおかしい?」

「いいえ、別に…」

今度はSMが苦笑しながら言った。

「ドタキャン…これで3回目…俺…彼女にあんまり大事に思われてないんだよな、きっと……」

同類項の君よ、痛い事言ってくれるじゃん。

ドタキャンは大事に思われてないって事なの…でも最近、直也は凄く優しくなっていたし…私は大事にされてた筈よ。

きっとどうしても断れない客の誘いがあったんだわ。

白ワインで乾杯した。

何の乾杯なんだろ?

ドタキャンされ同盟?

料理が運ばれてくる。

SMは自分の悲恋話を語る。

直也の事以外、私の耳は右から左なのに……それに、こんな初対面の私に語って、一体どうなるって言うんだろう。

「3回ともなれば…これがもう引き際なんだろうなぁって…いい加減あっさりと諦めようかと思ってるよ」

「そうなの…大事に思われてないんだ…同情するわ」

私は、さも話を聞いてるかのように、まともな受け答えをする。

これは、ワインとコース料理のお返しのつもりだった。