姉は中学生になった。

クラブは何も所属せず、家に帰ると直ぐに部屋に閉じこもった。

食事はずっと別々のまま、洗濯物さえ、姉は一人で自分の物だけを洗濯機に入れていた。

お風呂も…皆が入った一番最後…それも夜中にコソッと入る始末だった。

母の作っていた姉の御膳の内容が…日毎に変わっていった。

おかずの品数が減り…量も減り…子供ながらに、何? これだけ?って…姉が可哀想に思える膳だった。

こんなんじゃ、小学生の私が食べている量より少ないじゃん…。

姉も私も一部屋持っていたけど、私は…まだ母の布団から抜けられなかった。

ある夜中の事…母の寝床から抜け出て、トイレへ歩いて行くと、消灯されたキッチンから何か音がする。

そっと覗いてみた。

  お姉ちゃん!

お姉ちゃんが冷蔵庫開け、しゃがみこんで何か食べている。

それは…がむしゃらに貪る様に、テレビで見た事のある、まるで野生の動物だった。

その時、冷蔵庫の薄暗いライトの中、姉と目が合った!

それは…恐い目だった。

今でも忘れられない。

私はトイレ行く事も忘れ…母の布団に戻り…潜り込んだ。