私は、自殺寸前の人間を引き止めた。

私は人助けをした。

一人の命を救った。

その事により、私の精神は救われた。

吉田ひなこには…こっちが…私が礼を言いたいくらい……。


私の母は後妻だった。

先妻には一人娘がいて、いわゆる7歳年上、母親違いの姉が私にはいた。

大人しく無口な姉だった。

姉だった…過去形?

そぅ……今は亡き人。

父は女好きだったと言うか…恋愛体質だったと言うか…精力が強かったと言うか……。

先妻を無情にも追い出し…浮気相手であった、私の母を後妻にした。

まだ姉は小学生…私の母は、父に良く見て貰いたいが為、この姉である娘を凄く可愛がったと思う。

でも…それは…初めだけの事……。

それから直ぐに母は、私を身ごもった。

母のお腹が日毎、大きくなっていく。

その頃からか、父の帰りが…遅くなっていったと…これは、私が大人になってから、親戚のおばちゃんが教えてくれた。

母の妊娠を引き金に…父の前には…また次の女の影が……その頃からだろう…私なりの推測だけど…母の八つ当たりが、姉に集中していったと思う。