髪をカールして、念入りにメーキャップ、洋服や小物アイテムを吟味して選ぶ。
今頃、家で着飾ってるなんて…まさか…仕事まで早退したなんて、直也は知らない。
私の愛しい直也は…仕事で疲れ、今頃眠りの中………。
いい女が完成した。
時間はまだ早かったが、待ち合わせ場所に向かった。
「仕事で遅れちゃって、スゴく慌てたわ」
なんて…時間ぎりぎりに着く演出をするつもり。
気持ちはそわそわ、体はウキウキ……でも、直也の心…取り戻せてよかった…一時はどうなるんだろうって…めっちゃ不安だったもん……。
まだ時間までに1時間もあった。
待ち合わせた場所をうろうろしても…まだ時間は遠い。
近くのコーヒーショップに入った。
コーヒーは利尿作用がある為、いらない水分を落としてくれる。
ダイエットの為、シュガーもクリームもノーサンキュー。
直也に愛され続ける為には、もっともっと綺麗にならなくっちゃ。
苦いだけのカフェインを喉に流しつつ、私は、吉田ひなこの事を思った。
あのまま放っておいたら、今頃…吉田ひなこは、この世にいなかったのかも知れない。