ダンディーライオンのナンバー1拓也……本名尾崎…いつもスーツでビシッと決め、外車乗り回し、1万円札を紙切れのように扱う男……中身が空っぽとは?
俺には二人の愛娘、そして亡き妻、菜々子の夢があり、それが俺を支えてきた。
ブタや、両生類に爬虫類、シワシワの婆さん抱きながら、ここまで堪えてこれたのは…支えがあったから。
もし、これがなかったら…俺も間違いなく…溺れ組に属していたと思う。
尾崎は続けた…。
「こんな仕事長い間続けていると…金銭感覚も恋愛感覚も…完全麻痺してるよ。女なんて、誰も本気で好きになれないしな…。今更、普通の仕事には戻れねぇや…生活水準落とすなんて不可能な事だし……このまま、この生活がずっと続くと思ったらぞっとするよ。 そう思いながらも…溺れたままだよ…これから先もな……早く、足洗えるお前が羨ましいかぎりさ……」
それは、尾崎が初めて俺に見せた弱さだった。