社交辞令の会話から始まり…本題に入ってきた。
野田が聞く。
「で、店長、あの男に幾らぐらい貸したんですか?」
「……何十万よ…」
言葉を濁した…何て答えていいのかわからないもの。
貸した金額? は0円?
でも私の貯蓄は底をついた。
これは投資?佐々木に?
いいえ、私の単なる無駄遣い?
今更、お金なんて返してほしい訳じゃない。
私自身も承知で使ったお金だから、仕方ない事だと思う。
ただ、私は気持ちを…心を返してほしいの。
この芽生えた命に、責任感じてほしいの。
野田が聞いてきた、一番痛い部分を…。
「店長、あの男と付き合ってたんでしょ?」
答えられないまま、私も野田に質問した。
「…野田さんは?佐々木君とどんな関係だったの?」
沈黙になった…この次に言葉出すのはどっち?
暗黙の勝負…と、野田の表情が変わった。
うっすらと口元に苦笑を見せ、話し出した。
「あいつは超ワル男よ。まぁ、ホスト上がりだから、当然と言えば当然だけど、女なんて金庫代わりにしか思ってない男……」
何て事…それは…わかった、それは理解出来るかも知れない…でも私は、そこから先が聞きたいの。