仕事が終わると、私はスーパーに走った。

直也に、美味しくて栄養ある物を食べさせてあげたい。

仕事中も、献立の事ばかり考えていた。

そぅ毎日がスペシャルディナー。

まるで通い妻らしく、掃除、洗濯、料理、そしてエッチと…痒いところに手が届くほど、直也の世話に明け暮れた。

だって私は選ばれし女…直也の数いる客の中から選ばれた、たった一人の本命馬…。

 私はチャンピオン。

直也は、家に居る時大人しかった。

と言うより、口数が少ない。

店では、息つく暇ないくらいお喋りして、私を楽しませてくれていたのに、付き合い始まり日が経つ事に、だんだん無口になっていった。

必要以外の事は話さなくなり、笑顔も無くなっていった。

私は聞いてみた。

「私といると、つまんないの?鍵くれた事、後悔してる?」

直也は、首を横に振り言った。

「いいや、そんな事ないよ」

「じゃ何で?直也、全然話してくれないじゃん」

「疲れてんだよ。店でエネルギー全開、作り笑顔も毎日続くとさ、顔も、口動かす事だってだるいんだよ」

私は絶句した…返す言葉もなかった。

そうよね、当然の事よね………。