●野田亜希子●

疲れた…もう嫌…ホスト本命の彼女って、ただの家政婦? 癒し係? 専属風俗嬢?

 いったい何なの?

  ホストクラブ
 「ドラマチック」
 ナンバー1 直也

私がまだ客だった頃は、腫れ物触るように大事に扱ってくれた。

笑わせてもくれたし、夢も見させてくれた。

そんな直也に……

「俺と真剣に付き合ってくんない?」

と部屋の鍵、渡された時は、天にも昇る思いだった。

何で? 何で私なの?
私を選んでくれたの?
躊躇っていた私に、直也は付け加えた。

「俺の事、嫌いなの?」

違うの、違うのよ、嬉し過ぎて嘘みたいで、夢みたいで、からかわれているみたいで、これって…もしかして…ドッキリテレビの回し者? …と周辺見渡し、隠しカメラ捜したぐらいだった。

私も、年貢の納め時が来た…それも、この上なくハッピーな形で……。

男をさすらう旅路にピリオド打ち、私は受け取った…黄金の鍵を………。

吉田ひなこが辞めた後、私は店長に昇格したし…恋も仕事も上手く行き過ぎて、怖いくらいだった。

一生を四季に例えたら、今は間違いなく春真っ盛り~。