●佐々木仁●

あれは確かにリコだった。

正面の顔は確認出来なかったが…髪型に髪の色、コート、靴の色まで…全く同じ女がいるなんて…ありえないよな……。

その後ろ姿は……ホストクラブ「ダンディーライオン」に入って行った。

何で?何の用があって?

朝早いからね、私、家に帰ったらすぐベッドに入るの…リコの声を思い出してみる。

俺は、イーグルの上で仕事しながら、頭の中はリコの事で一杯だった。

おっと、仕事にも手を抜いてはいられない。

今回は、少々多額な金を要求したんだった。

リコのおばあちゃんの病院代がかかっている、真面目に仕事しなくては……。

仕事完了…俺は、イーグル金庫にあった手持ちの金、23枚だけ受け取り、後15枚足らないと言ったら…明日また渡すとの約束で別れた。

それから俺は、また飲み屋街にバックした。

着いたところは…………「ダンディーライオン」

真っ黒なドアの横には、ゴールドライオンの実物大ぐらいの置物が置かれていた。

と、ドアが開き、ホストの一人が出て来た。

突っ立っている俺を、怪訝な目で見る。

「面接?」

「いいえ………」