仕事以外は、おばあちゃんの側にずっと付き添い、家に帰ったらただ眠るだけ…今のリコには休日なんかなかった。
だから、デートも誘えない。
店が終わってからも、次の日朝が早いからと、直ぐに帰ってしまう。
可哀想なリコ…小さなリコ…痛々しいリコ…俺はザワザワ騒がしい居酒屋で、言葉も忘れ…哀し過ぎるほど愛しいモナリザを見つめていた。
「佐々木君、佐々木君どうしたの?何考えてるの?」
「あっ……ぼっ~としてたよ。悪い、悪い」
俺は我に帰った。
この1時間は、無駄には出来なかった。
俺とリコを繋ぐ、二人の大切な時間……。
「紹介してほしいの…」
「えっ?」
何の事だ? 俺は、話しを聞いていなかった。
「全然聞いてくれてなかったのね…」
「ごめん!もう一度言ってよ」
「金利安くね、お金貸してくれるとこ、もし知っていたら紹介してほしいなぁ~って」
「金貸しか……」
リコが言うには、おばあちゃんの入院費と手術代が払えないらしい。
まだこの店では、働き出したばかりなので収入もなく、低金利で貸してくれるところを紹介して欲しいと言われた。