私たちは旅行に行かなかった。
クリスマスは一緒に過ごしたが、
ケンの心は其処にはなかった。

私たち、
手も繋がなかった。




私の手が、寂しい、と鳴く。
私は耳を塞いだ。





ケン、しばらく会えないわ。
ごめん。
いろいろ忙しいんだ。

もしも、私に会いたくなったら
電話して。

待ってるから。






私は、
自分が愛されていないこの現実と
すぐに向き合うことに
耐えられそうもない。

私は、
そんなに強くない。

だけど、
ケン、私のことを捨てないで
と言えるほどプライドは低くないし。

ケン、世の中に女はたくさんいるけど
私が一番アンタを愛してるよ、
考え直して
と言えるほど自信もたいしてなかった。





だけど、電話だけは待っている。

昼だって、夜中だって。