最後の電話を待っていた。
最後になるかもしれない電話を、

ただひたすら待っていた。



私からは掛けない。


ケンの気持ちが
電車が発車していくみたいに
ゆっくりと加速して
レールに沿って
遠くに
遠くに
徐々に離れていっていることを

私は知っていた。



どうして、
人は
この人だって決めた人を
何の迷いもなく一生
ずっと
愛してはいけないんだろう。

それでも私は、
ずっと
ケンのことを想っていたよ。