気持ちを、伝えてみよう。
別に好きだとは伝えない。


さりげなく、言ってみよう。



「ねぇ神谷君。」

「……ん。」


「あたしこの席離れちゃうのすごく寂しいな。」

「そか。」


「思い出がいっぱい詰まりすぎてて、はちきれそうなんだ。」

「…うん。」


「でも、終わり。ありがとね、神谷君。」


「………。」





終わり。
この気持ちを、終わりにする。

神谷君が好きという気持ちを手放す覚悟がちゃんとできたから。



「はいっ、くじ引き。」


あたしの目の前にくじ引き箱を持った子がやって来た。

ガサガサ引いて、見れば番号は28番。


「智花何ば―ん?」

「…27。」


「え…ちか―――い!!28番だよっ」

「嘘、ラッキーっ!」


トントンと肩を叩かれて、振り向けば、神谷君。



ピラリと紙を見せられた。
番号は34と書かれていた。



黒板を見れば予想通り、またお隣で。
あたしはまた、にこりと笑った。


「改めてよろしくね、神谷君。」

「……気にくわないな。」


「……はい?」

「うん、気に入らない。」


えぇ!?