とにかく話しかけてみよう!
そう思って、数学の授業中に問題を解いていく時があったので早速話しかけてみた。
「ねぇ、この問題の答えって何?」
チラリと問題を見た神谷君。
いつもならにっこり笑って教えてくれた…なのに。
「…わからない。」
そう呟くように言って、前を向いてしまった。
ズキズキと鳴る胸。
…やっぱり無理だよ智花。
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諦めてその後の授業から話すのをやめた。
でもよく考えてみたら、神谷君はあの子が好きなんだし、諦めるタイミングにピッタリなんじゃんって気づいたあたし。
「じゃ、早速くじ引き始めるぞ―」
…へ?
いつのまにか学活の時間で、担任が前に立っていた。
クルリと後ろを見て智花に聞いた。
「なんのくじ引き?」
「…席替え。」
そうだった…そうだよね、ずっと隣なわけじゃなかったんだ。
もうあの頃には戻れないんだ…。
ほんの少しの期間だった。
だけど思い出がこれでもかって詰まっているこの席。
なんだか寂しいけれど、諦めなきゃいけないんだから。
最後にキミに伝えてみようか。