ある日の、放課後。
部活中に美菜を見かけた。
もう薄暗い空。
人通りもない道。
「1人で帰らせれるかよ。」
ぼそぼそと呟き、慌てて美菜を追いかけた。
何故か焦っている美菜に待ってろと伝えまた顧問の所まで走り、早退を告げて着替えた。
猛ダッシュでキミの所へ戻れば、真っ赤な顔でにこにことしていた。
それは卑怯だ。
赤くなりそうなのを気合いで抑えて、家の場所を聞けば…本っ当に正反対で。
だけどそんなのでへこたれない。
2人きりになれるなんて…そんなチャンスは逃せない…し、1人は危険だ。
並んで帰りながら、何度もキミは正反対なんでしょっなんて聞いてくる。
いつもはポケているのに、意外な所で鋭いキミに驚いた。
だけど俺の頭の中は…
"キミと手が繋ぎたい"
この欲を抑えるのに必死だった。
最後の最後に、抑えきれなくてキミの頭を触ったけれど…それ位は許してほしい。
「俺…何気に頑張ってるじゃん。」
ぽつりと呟いて、にやりと笑った顔を元の顔に戻して教室を出て行った。