キミが教室に入って来た時から、僕は惹かれていたんだ。
黒板の前で木倉さんと席が近くですごく喜ぶ彼女を見た瞬間、僕の心臓の音が大きくなったんだ。
席を確認し終えて、くるりとこちらに方向を変えたから、僕は慌てて見つめていた瞳を本に集中させた。
「あ、神谷君じゃん。」
声のほうを見てみれば、中学から一緒だった木倉さんだった。
挨拶もすませて、チラリと僕の隣に目をやればキミがいたんだ。
この人が嵩木さんだったんだ。
名簿見てよかった…まさか隣だとは…
頭のいい人だと木倉さんが僕を紹介した途端に、キミはキラキラした瞳で僕を見てきた。
きっと順位が聞きたいんだろうな。
「…ずっと1位だよ、嵩木さん。」
「うぇぇええ!?」
「クスクス…嘘、5番くらい。」
あまりに素直な反応だったから、思わず僕は笑ってしまった。