神谷君があたしに何か言おうとしたその瞬間…
「じゃ―次の問題嵩木っ!」
先生ナイス!
きっとあたしの人生で、先生に当てられて嬉しいのは今日だけだろう。
…でも答えわかんない。
隣を見ればきっと教えてくれる。
だけど、キミはかおるちゃんが好きで。
叶わない人なんだから。
頼っちゃダメだよね。
「…3:1?」
「正解っ」
山勘ヒット―っ!
あたしついてるついてるっ
勘が当たってニヤニヤしていると…感じる視線。
今横向いちゃダメだ。
必死に黒板に書かれていく文字をノートに写す。
キミは、まだあたしを苦しめたいのか。
「今日変だよ、美菜。」
また声がする。
「…っ、へ、変じゃないから。」
美菜という声に胸が高鳴り、熱くなる気持ちを抑えながら答える。