これまた生物の時間。
この時間は少し苦手だ。


だって…


「可愛いね。」


あの甘い言葉を思い出すから。



「はぁ…。」



思わずついてしまうため息。



「美菜、何かあった?」


「え……。」


声のした方向を見れば、茶色の瞳をあたしに向けて、笑顔を見せる…神谷君。



「な、んで?…っ」


「名前?めんどいし。いいだろ?
美菜も奏でいいよ。」



どうしても赤くなる頬。
どうしても高鳴る鼓動。


キミは一体、あたしにどれだけ苦しんでほしいのだろう。


「で、何かあった?」


「あ、別に…ただため息ついただけ。」



そう言って、前を向いてしまうあたし。
だめだ…かおるちゃんがいるんだから。



「…なんか今日変じゃない?」


「普通だよ、大丈夫。」



そう答えると不満げにあたしを見てくる神谷君。