授業中。

先生の話は全く気にならない。
隣の神谷君に意識は集中してる。



少し、ドキドキするだけ。
少し、目で追ってしまうだけ。
少し、気になるだけ…。


客観的に見れば、好きなんじゃない?って簡単に言えるけれど…あたしはまだ、認めたくないんだ。



好き…まではまだいってない。
きっと、気になる存在なだけ。



「…っ……嵩木っ!」


「ふぇ!!?」



クラスみんなの顔があたしに集中している。



わけがわからなくて、助けを求めるために神谷君を見れば、


「1:2」

ボソボソっと言った、意味がわからない言葉。何が1:2なの…?



「嵩木!!」



びくっ!となり、声の発信源を見ればイライラしている生物の先生。

「これの答え!」



差された問題は、あたしの苦手な遺伝子の問題。数字と記号が沢山ある。


そこでやっと神谷君の言葉の意味が理解できた。



「いっ、1:2…?」


「ん、正解。そうなれば~…」



よ、よかった…。



「神谷君…ありがとう。
ちょっと考え事があって…」


「うん。ぽけーとしてたよ、生物始まってからずっと。」



み、見られた!?
もしや口がぽかーんと開いてるアホズラだったんじゃ…?


恥ずかしくて、真っ赤になりながら


「わ、忘れて…?」


と言ったあたしに思いも寄らない言葉がかかった。