「お〜い!!」
「あっ!佐伯君っ!!」
廊下から佐伯とやらが大きく手を振っていた。
……アレが佐伯かぁ。
噂でしか聞いたことがなく,顔を見たことがなかった俺は佐伯を見た瞬間少しへこんだ。
なぜかって??
理由:イケメンだったから。
俺が想像していたのより遥かにかっこよかった。
……………はぁ。
心の中でため息をこぼす。
「あっ!噂をすれば本人登場だね〜!!あれが"佐伯君"かぁ〜。イケメンだな〜。」
英司がイスから立ち上がって手で丸を作って,双眼鏡を覗くような仕草で佐伯を珍しげに見た。
「なんかハーフらしいよ〜!」
川田さんも面白がって同じように佐伯を見だした。
「へ〜!!どーりで顔立ちがはっきりしててかっこいいはずだっ!!
……って,なんでマイハニーがそんな事知ってるんだ?
…ハッ!まさか浮気…」
「してないから!ってか,いつから私はあんたの妻になったの!!?」
「もぅ!!あんなことまでした仲なのに…」
「どんなことだよっ!!
ってか,顔を赤らめるな!!キモいっ!!」
「えーっ!!何々?何したのー?」
「ちょっ,美桜。本気にしなくていいからっ!!」
───またいつものように川田さんと英司の口喧嘩が始まった。
喧嘩するほど仲がイイ。
まさにそんなかんじだ。
本人達は気付いてないけど,ハタから見たらじゃれあってる恋人同士にしか見えない。
いっそのこと付き合ったらいいのに…って俺はいつも思う。
でも,今日は佐伯の事が気になって英司達を見る余裕なんてなかったんだ。