昼休みになって,私達四人はいつものように他愛もない話をしていた。




「おーい!!美桜ちゃーん!」


佐伯君が私達の教室に入って来た。


「あっ。佐伯君!どうしたの?」


「ちょっと,国語の教科書忘れてさぁ。貸して欲しいんだけど…持ってる?」


「持ってるよ〜。ちょっと待ってね…」


私が教科書を取り出そうとした時…


「ハイ。
俺持ってるから貸すよ。これでいいんだよな?」


ハルが教科書を佐伯君に差し出した。


「まじでっ。貸してくれんの?ありがとう!!(…俺は美桜ちゃんに借りたかったんだけどな〜…。)
ってか,初めましてだよな〜?名前聞いていい?」


そう言って佐伯君はハルの教科書を受け取った。


「あぁ。いきなりごめん。
俺は春田 章彦。ソフト部だよ。」


「あー!!もしかして君が"ハル"!!?
噂通りイケメンだな〜。1回話してみたいなあって思ってたんだよ。嬉しいなー!!」


「俺,そんな噂たてられてんのか…。」


「まぁ,よろしく−!!
あっ。俺の名前は…

「知ってる。野球部の佐伯だろ。」


「えっ!!何で知ってんの!?もしかして俺の隠れファン!?」


「いや,違う。」


「そんなに全否定しなくてもー…。まぁ冗談はこれくらいにして…,ハルモテるだろー?」


「いきなり何だよ。」


「いや,こんなにかっこいい上に優しいんだからモテるだろーなーって思って。
で,どうなんだ?」



「いや,そんなことねぇよ。」


「またまた〜。

…っあ!ヤベッ!あと2分でチャイムが鳴るっ!!
じゃーまた今度ゆっくり話そうぜっ!!
教科書ありがとなっ!!
美桜ちゃんもまたねっ!」


「おぅ。またな…」


「あっ!佐伯君,また後でね〜。」



私は,走り去っていく佐伯君に手を振った。