真希が拳と拳でこきこき鳴らしている。
いかん、
五発目が来るっ……。
万事休すなのか、俺。

「くすくす……」

……とそこで、
千鶴は何かを含むようにして小さく笑う。
その声が俺と真希の耳が捕らえて、
千鶴の方を向く。

「本当に仲がいいんですね、真希さんと零二さん。
まるで恋人同士みたい♪」

突然、とんでもないことを言い出す千鶴。
おいおい、
これのどこが仲の良い恋人同士みたいに見えるってんだ。
今まさに、
俺は殴られようと……。

「本当ですよ……、
全く見せ付けちゃってもう……」

今度は後ろからの不意打ちの聞き覚えある声。
俺と真希が同時にそちらに向き直ると、
声の主であるまゆと、
もっちーが立っていた。
まゆには日替わりランチ、もっちーには同じく日替わりランチと、
俺の分の味噌ラーメンがお盆の上に乗せられている。

「ちょ……ちょっと、まゆっ、
見せ付けるとか何とか……、
何を言ってんのよっ!」

顔を真っ赤にして否定する真希。
至った考えは俺と同じようだ。