「ん~でもやっぱりお前に悪いだろ」

俺が食べれば、
真希の分が当然減る。
それで真希が足りない、てなったら尚更だ。

「やっぱ、俺は学食だな」

「そう……別に遠慮しなくていいのに」

気のせいか残念そうな真希。
でもなるべく甘えないようにしないとな。
小さいことかもしれないが、
こういうところから心掛けていかないと、
決意ってのは鈍るからな。

「よし、
学食へいくぞ!
真希はどうする?」

「はいはい、
付き合うわよー」

俺が立ち上がると、
真希も弁当の包みを持って立ち上がった。



「うわ~、すごい人」

「くぅ、初動の遅れが響いたかっ!」

学食へたどり着いた俺たちはお口あんぐり、だ。

購買のおばちゃんとそれを手伝う何人かの生徒によって仕切られるカウンターの前が、
学食の生徒が総出で戦場となっていた。
さっきも言った通り、
学食派閥が大半を占めるため、
この学園の生徒約六百人の約七割近くが、
ここに集まるとなれば、
いくら広い学食堂とはいえ生徒一色で染まってしまっている。