「元気そうで何よりだ。
瑞沢零二っ。
帰りを一日千秋の思いで待ち侘びたぞ」

「そいつはどうも」

手を握りしめあったまま、お互いに笑い合う二人。
そんな二人の姿を見て思わず私やもっちー、まゆも笑い合う。
零二と大掛布崎は一年の時から同級生で、
色々な意味で(?)馬が合ったらしく今では親友という関係のようだ。
私もその延長上で友達として付き合ってる感じ。
でも、
ちょっと思想に難あり(?)で、
あたしはなるべく関わらないようにしているが。
個人の思想は自由だから、反発はしないけど、
あたしはうん、無理。


きーんこーんかーんこーん……

「うん、予鈴だな」

「もうすぐ美奈っちが来るね♪」

予鈴が鳴ると、
零二ともっちーがそう言い合う。
『美奈っち』とは私たちのクラスの担任のあだ名だ。

『ほらほら~っ、
予鈴が鳴ってるわよ?
早く教室に入りなさいね♪』

チャイムが鳴り終わるや否や、
廊下から明るい調子の声が聞こえてくる。
それをきっかけに廊下にいたクラスメートが教室内に入り、
皆がそれぞれの席に着く。