２

予鈴五分前。
あたしと零二は自分の教室の中に入ると、
既に登校していたクラスメートたちで賑やかになっていた。

でも私たち、
いや正確には零二の存在に一人、また一人気付くと、一瞬その喧騒が止んだ。

『瑞沢っ！瑞沢じゃねぇか！』

『瑞沢くんっ、久しぶりだねっ』

「よおっ、皆の衆！」

クラスメートたちが零二と私の周りに集まってくる。
零二と普段交流を持っている友達から順に零二に声をかけていくと、
零二も元気良く笑いかけていた。

「皆の衆っ、
心配をかけたようだなっ！だが、
瑞沢零二は今日、完全復活を遂げたっっ！」

『おおおぉ～～～っ！！』
零二が胸を張るようにしてその中心で声を上げると、
ノリのいいクラスメートが歓声を上げている。

「な～に、カッコつけてんだか……」

私はというと、
一人醒めたようにクラスメートの間を抜けて、
自分の席に着く。

あ～あ、
なんかさっきからあたし気分が乗らないなぁ……。
今日は零二の復帰初日だからノリ良く気合いよくいくはずだったのになぁ。