それからはお互いに眼を反らすようにして、
言葉を発することは無かった。




「……行こ」

「……え?」

「学校に遅刻するわよ」

先に静寂を声を上げたのは真希。
すると真希が静かにすたすたとこちらへ向かって歩いてくる。

「……かん」

「へっ?」

そして俺の横をすり抜けていく。
俯き加減に小さく真希が何が言ったが、
俺にはよく聞き取れなかった。
俺を置いて先を歩いていく真希の後を早足で追い付く。
……それから学校に着くまでお互いに一言も話すことは無かった。