「はぁ…」




私は今日も、朝早くから、学校へと続く長い坂道を登っていた。



別にもう慣れたし、凄くしんどい訳でもない。



でも今日は、いつもより機嫌が悪かった。





「おはよう!優里!」

「えっ…あっうん。おはよう…」






私の名前は、辻本 優里(ツジモト ユウリ)。
見た目はどこにでもいるちょっとボーイッシュな普通の高校生だ。





自分で言うのも、なんだけど…





「理奈がこんなに早くくるとはね。今日は嵐かな…?」

「もう!優里ったら!」





そして、この女の子は、中川 理奈(ナカガワ リナ)。
私とは違い、大人しくて、守ってあげたい感じの女の子だ。




勿論、学校でもモテモテ。





「機嫌、悪いね?優里、どうかしたの?」

「実は…、今日の占いで、男運がズバ抜けていいんだ…。」

「あっ……。どーりで…」






私には、理奈みたいにモテない理由がある。




あっ…
不細工とかじゃないんだけどね…





自分で言うのもなんだけど、顔は普通だと思う。





「あっ、もうここまで来てたんだ。」





気がつくと、理奈と話しているうちに、私達は長い坂道を登りきっていた。




「いよいよだね。優里。」

「危ないから、下がっててね。」





そして、いつも通りの学校生活へが、始まろうとしていた。





.