夏目センパイが立ち止まって、なにかを見ていた。


「夏目くん、何してんの?」

「ん?上手いもんだなって思ってさ。」



そこには、イーゼルを立てて絵を描いている女性がいた。
よく見ると若い人で、私達とそんなに変らないんじゃないかな?


その人の足元には、小さな看板が置いてある。

『似顔絵描きます。旅の思い出にどうぞ。』



思い出…。

コレだ!!



「あのっ!よかったら、みんなで描いてもらいませんか?」

「え?んー、そうだなぁ…。」


私の突然の提案に、考え込む夏目センパイ。
やっぱ、ダメかなぁ…。


「いいよ。なんか緊張するけど。」



瑞己が私の服の裾を引っ張りながら、小声で耳打ちしてきた。

「なんで、俺もなんだよ。夏目くんと2人でいいだろ?」

「いいから描いてもらうの!時間もったいないよ。」