「オイオイ」

異人は笑う。

「マルデオレガワルモノジャナイカ。コンナニケンブツニンニカコマレチマッテ」

言葉とは裏腹に、異人はわかっていた。

己のやり方が乱暴である事。

それをわかっていながら、この国の人間は誰一人として己を止める事などできないという事。

だが、その男は言う。

「日本人をあまり舐めない方がいい。怪我をしないうちに早々に立ち去れ」

「ナニィ?」

小兵の癖に上から見下ろしたような物言い。

それが異人の癇に障った。

言うが早いか、異人はその男の着物の襟を掴む。

この体格差だ。

掴んでしまえばどうにもできまい。

後は力でねじ伏せれば、男は降参せざるを得なくなる。

そう思った矢先。

「!?」