腰に下げた西洋刀をガチャガチャと鳴らし、藤田は騒ぎの方へと足を運ぶ。

…人だかりが出来ていた。

その中心に幾つかの人影。

一人は異国の人間のようだった。

大きい。

六尺(約180センチ)はあるだろうか。

筋骨隆々とした、金髪の男性。

あの体つきは、明らかに何か格闘技をやっている。

戦に身を置いてきた藤田ならば、その事は一目で見抜けた。

…対峙しているのは艶やかな着物を身につけた娘を庇うように立つ、二十歳そこそこの小柄な日本人男性。

藤田から見ても小柄だ。

恐らくは五尺(約150センチ)程度。

異人との体格差は歴然である。

「オイ、チビ。ナンノマネダ?」

異人がニヤニヤと笑いながら告げる。

対する日本人の男は、表情一つ変えずに呟いた。

「この娘が脅えているだろう。無理強いはするな」

強引に娘を連れて行こうとした異人を、男が庇った。

恐らくはそんなやり取りのうちに起こってしまった揉め事なのだろう。