そんな藤田が剣客警官として生き始めて、既に二十年近くが経過していた。

明治十九年。

もう洋装も、異国の文化も珍しくはなくなり始めていた。

己が敗北した事で変革を迎えた日本。

維新志士には勝てなかったものの、彼も敗者という形で日本の未来に貢献した。

藤田は新撰組であった事を、今も誇りに持ち続けている。

しかし。

「きゃああぁあ!」

往来、人混みの中から聞こえる悲鳴。

…そう、時代が流れ、戦が終わり。

それでも尚、この国に争い事は絶えない。

何故やっと訪れた新時代を平穏に過ごす事ができないのか。

そのような愚かな輩を取り締まる為、藤田は敢えて危険と隣り合わせの剣客警官という道を選んだのだ。