何とか呼吸が整う頃。

「……」

藤田が先に立ち上がる。

そして刀を鞘に納めて、ゆっくりと歩を進めた。

言葉はない。

新撰組の男として、仕留め損ねた相手と交わす言葉などない。

しかし。

「藤田さん!」

四郎は慌てて身を起こした。

痛む肩の傷もそのままに、藤田の背中を見る。

…何も言わず去っていく藤田。

だがその足がピタリと止まる。

振り返る事なく、狼は呟いた。