必要な事だけを告げ、背を向ける藤田。

そんな彼に。

「藤田さん」

四郎は声をかける。

「いいんですか?貴方は警官でしょう?」

「……」

立ち止まる藤田。

その背中が震えていた。

怒りでも、悲しみでもなく。

「…くくくく…」

愉悦に。

「警官?…認識を誤っているな、西郷」

そのゾッとするような笑みで振り向かれ、四郎は戦慄と昂揚を同時に覚えた。

「俺は警官じゃない…俺は新撰組だ」