「まずは武術大会の勝利を祝っておこうか」

薄く笑う藤田。

自然、四郎も笑みを浮かべる。

祝福が嬉しいのではない。

その言葉に秘められた、藤田の真意を知っていたから。

『俺と戦うに足る資格をお前は得た』

『動乱を生き延びた俺に相対する権利を得た』

藤田がそう言ったように聞こえた。

…最早二人の間に、多くの言葉は要らない。

どちらが強いか決めよう。

それだけの純粋な思いが、二人をついに引き合わせたのだ。

「用件だけ伝える…今夜丑の刻…この近くの河川敷だ。そこなら邪魔は入らん」