「渡してないけど」

「じゃあ、ちょうだい?」

「なんで?」

「なんでってそれは…あたし、美羽の保護者だし」




「保護者なんかじゃない!」




私はつい大声を出してしまった。

亜里沙は驚いたように目を丸くして、うっすらと涙を浮かべた。

あっ…

私はとっさに怒鳴ったことを後悔した。





「とにかく、わざわざ来ることないよ。たいしたことはないだろうし」




「たいしたこと、あるよ」




こんどは亜里沙が大きな声で言った。私はびっくりして、一瞬固まってしまった。亜里沙が高ぶった声を出したのは、この時が初めてだった。