ギシ…ギシ……
一段一段歩くたびに、老朽の進んだ階段は悲鳴を上げる。
少しでも油断をすると、階段が抜けそうな感覚に陥りそうになりながら、綺羅たちは用心しながら一段ずつ階段を上っていく。
辺りは暗く、灯りは自分たちが持っている懐中電灯の光のみ。
だから、一階であろうとも二階であろうとも暗さは変わらないはず。
なのに、一段一段階段を上るにつれて、綺羅はどんどん暗闇が深くなってきている気がしていた。
それと共に、自分の心臓に警鐘が鳴り響く。
綺羅は自分の勘を信じ、右手で左手を握りしめた。
「なんだか………、嫌な空気が流れてるね………」
「えっ!?」
両手を交差に抱きしめながら、真里は神妙な顔つきで前を見据えた。
そんな真里の表情を見て、柏葉はビクリと体を震わせ立ち止まる。
慈の盾にさせられ、先頭を歩いていた柏葉が立ち止まったことで、みんなの足も自然と止まった。
「ちょっと! いきなり立ち止まらないでよ!」
急に柏葉が立ち止まったことで、彼の背中に思いっきりぶつかった慈は目を三角にして怒る。
そんな慈に柏葉は情けない顔で振り返った。