「麻生くんはわかってない! これは私にとっては命よりも大切な手帳なのよ。ここにはあらゆることが書き込まれているんだもの。たとえ、麻生くんでも見せるわけにはいかないわ」







 なんだよ、それ。






そうは思いながらも、そこまで言われてまで綺羅はわざわざ慈から手帳の中を見せてもらおうとは思わなかった。


「わかったよ。その代わり、お前がちゃんと案内しろよな」


「も、もちろんよっ!」


言いながらも、微かに柏葉を自分に引き寄せる慈を見て、綺羅は大丈夫か心配になってくる。


こうやって怖がるぐらいなら、自分に見せてくれたほうがよっぽど早く済むことだと綺羅は思うのだが、慈はそうは思わないらしい。


「さあ、行くわよ!」


掛け声は一人前。


だけど、柏葉を盾にして歩く慈を見ていると、なんとも情けない姿に見えた。


「えっ!? これって、どうなんだよ~~~!」


案の定、盾にされている柏葉は納得がいかないとばかりに声をあげた。