「相良。その化け物退治を引き受けている奴のこと、他にも何か聞いていないか?」
突然の綺羅の声に、三人は足を止め、振り返った。
「他にもって?」
いつもなら、自分からこんな風に聞いてくることなどない綺羅の突然の質問に慈は不思議そうな顔をする。
その隣では、柏葉も同じようにキョトンとした顔で綺羅を見ていた。
そんな中、ただ真里だけがその意味を知っているような複雑な表情をしていた。
「だから、そいつが女かとか、どんな力を持っているとか、そういった特徴だよ」
綺羅は言いながら、突然何を思ったのかプイッと顔を背けた。
「あ~…、そういったことは知らないけど、何でも組織だって仕事を引き受けてるみたいよ。私たちみたいな個別とかじゃなくね」
そこまで聞くと、綺羅は黙り込んだ。そんな綺羅を慈と柏葉は不思議そうに見ていた。
「綺羅くん。実は、この話を慈から聞いた時に、私ももしかしたらと思ったの。もしかしたら、深青ちゃんに繋がる何かが見つかるかもって」
申し訳なさそうに話す真里を見て、綺羅は『そうか』と納得した。
真里が言っていた、「自分にも責任がある」ということはそのことを指していたのだと。
だけど、確信が持てない。
だからこそ、真里は綺羅に対してきちんと話すことができなかった。
それで、あんな風に言ったのだ。
綺羅はフッと笑うと、真里の頭に軽く手を置いた。
「真里がそんなに責任感じなくてもいいから。………真里は俺のことを思って言わないでいてくれたんだろう? これで深青に繋がるものが見つかればいい。だけど、逆に何も見つからなかった時の俺がショックを受けることを考えて、何も言わなかったんだろう?」
「……………」
肯定も否定もしない真里。
だけど、それが逆に綺羅には肯定に取れた。