「情報をあたえなかったら、自分たちで調べてしまうんだもの。関わるなと言っても無理でしょうね」


「ええ」





 全員の意見を代表して慈が答える。


 すると、礼香はフ~…と息を吐いてから慈に近寄りホワイトボードに一枚の写真を貼り付けた。


「この男子生徒を知ってるかしら?」





 四人の視線がホワイトボードに貼り付けられた一枚の写真に注がれる。





 写っている男子生徒は綺羅たちと同じ青涼学園の高等部の制服を着ている。


 男としては少し丸顔で黒縁の眼鏡。


 眼鏡を通して見える目は一重だが、キリリとしたというよりも可愛さを持つ大きな瞳。


 だが、写真を通してからだけだが、ひ弱そうな風に見えた。





 三人が眉を寄せ、記憶を呼び覚まそうとしているところに一つの声が上がった。


「吉備(きび)………」


「雅俊。お前、こいつのこと知ってるのか?」





 信じられないという顔で写真を見る雅俊に綺羅は尋ねる。


 だけど、雅俊はその声も耳に入っているのかわからないほどに表情を変えずにただ頷いた。


「光浦吉備(みつうらきび)。クラスは二年十一組」


「二年十一組!? それって、和田あゆみと同じ………」





 慈が言うのと同じく、礼香はコクリと頷いた。


「そうよ。行方不明になってる和田あゆみと同じクラス。そして、いじめの対象に入ってた一人よ」





 全ての状況がまるで点と線のように繋がっていく。