何気ない言葉だった。


 このペンダントには何の意味もないと思っていた。


 ただ、深青が自分を泣き止ますためにくれたものだと………。


 だけど、このペンダントはそんなものじゃなく、深青にとって、とても大切なものだったのか?


「それ…、やはり………」





 ペンダントを取り出し、じっと見ていた綺羅の傍にいつの間にか真之は立ち、横からじっと見る。


 そして、触れようとペンダントへと手を伸ばした瞬間、綺羅は思いっきり、真之の手を振り払った。





「触るな!」





 一気に緊迫する空気。





 部屋の中にいた全員の空気が凍りつく。





 だけど、言われた当人である真之は全く気にせずにペンダントへと視線を向けた。


「お前、それどこで手に入れた? その中にはとてつもないものが入ってるぞ。お前の力などでは到底セーブできないほどのな」





 そうかもしれない。


 深青がずっと持っていたものだ。


 そうかもしれないけど、だからといって、このペンダントを誰かの手に渡すつもりなんてなかった。





「そんなこと、お前には関係ないはずだ」


「関係はある。もしかしたら、霊はその力に集まってくるのかもしれない。霊たちは少しでも強力な力を欲して自分たちを強くしたいからな。だから、お前が持つよりも俺たちが」


「もういい! そこまで言うのなら、俺は降りる」