四月、彼女を見た時に想った

"あんな子、居たんだ"

最初は目にもくれなかった。
でも、徐々に、俺の視界には入っていっていた

「も~先輩、バスケ部見るのもいい加減にしましょ~よ~」
「いいじゃん、いいじゃん!少しだけ!ね!」
「…わかりました、少しだけですよ」

その時、俺は隣でたまたま部活をしていて、休憩時間だった。
そこに、彼女がやってきたのだ。

「…山下、あいつ誰?」
「え、うん、あ、森松、桜ちゃん」
「ちゃん?」

山下が、さん付けをするのは普通だったが、ちゃん付けなんて久々にきいた
「同じ小学校の、同じクラス、だったから」
「ああ、そゆこと」
「今、浦水くん、同じクラス、だよね」

言われた一言と、彼女の顔をじっくり見て気がついた。
俺と、森松は同じクラスだ。

「あ、確かに」
「クラスの人、の名前ぐらい、覚えててよ」
「わりいわりい」

山下との会話を終了させると先生が、休憩終了の合図を出した。
キャプテンの小夏くんが合図する。
先生のところまで行くと、サーブの練習ということだった

「…たり」
「そんなこと言わず、がんばろや」
「そうだね~」

そんな会話を先輩と交わしていた。
この時、後ろで森松が見ていたこともしらずに―…