純子ちゃんに愛想を尽かされ、初めてのデートも未遂に終わった次の日。
今日は月曜日、僕は当たり前のように学校指定の藍色のブレザーに身を包み、ところどころ崩壊した通う高校へと向かう。


「あんら、派手にやられちゃってんの」

「うるせー」


登下校を共にする派手な友人、赤木は僕の青く腫れた頬を見て大袈裟に笑った。
僕は口から白い息を吐き出しながら、まるで不愉快とでもいうようなくらい顔をしかめ、横でひいひい笑う赤い頭をした赤木を睨む。

もとはといえば、あんなにかわいくて少しいじっぱりで、僕にとってまるで孤高の華だった純子ちゃんを地味でなんの取り柄もない僕に紹介してくれたのも、この頭の悪そうな赤木だった。
いや、それについてはかなり感謝しているんだけれど。
しつこいくらい笑う赤木を置いていきながらも僕は、未だ熱を帯びる頬を撫でた。


「悪かったって、そんな怒るなよ」

「怒ってないよ」

「へへっ、そうかそうか。だよな、そうだよな、雄太やさしーもんな」


僕との遅れを取り戻すかのように、慌てて僕を追ってくる赤木は、再び横に並べば、少し楽しそうにそう言った。