すこし拍子抜けてゆっくり目を開けば、目の前に映った純子ちゃんは僕の胸ぐらを離した。


「……そんな風に思う奴なんかと一緒にいるほど、あたしの心は広くねーよ」

「純子ちゃん……」


いつも怒ってるか照れているかどちらかの純子ちゃんが、真顔になって言うもんだから、僕はつい押し黙った。
純子ちゃんの言葉が心臓の芯を溶かすくらい熱く胸に滲む。


「あぁもう、ばか!ばか雄太!恥ずかしいこと言わせんなよ……って、雄太ぁ?!」

「純子ちゃん!」


あまりにも男らしい純子ちゃんに感動した僕は、茶色い頭をぼりぼり掻きながら恥ずかしそうにする小さい彼女の体をがばっと抱き締める。

真冬の空の下、僕は真っ赤になった純子ちゃんに顔面を殴られ、怒った純子ちゃんは地面に倒れ込む僕に構わず、スタスタと帰っていった。