彼女らは顔を赤らめて拒否した。気持ちはわからないでもない。思っていた以上に義則は明るく気さくな青年だった。

視線を感じれば「どうかした?」と笑顔で振り向き転んで助けてもらえば「ありがとう」と微笑む。このまま行くといずれ別名はほほ笑みの貴公子だとかついてしまうんじゃないか。

どっかで聞いた通り名だけど。

しかし、男子たちは遠巻きに騒ぐだけで駿とは話すものの義則には近づこうとしなかった。話題が合いそうにないのが見て取れるからと、ハートマークを飛ばす女子たちを見ての嫉妬か。


「義則さん、帰りどこか寄る?」

「あいにく、車で送迎だから……」

「え、じゃあもう待ってるんじゃ」


遅れたら義則が怒られるのではないか。


「ううん、携帯で帰りたい時にメールしろって。で、メールの仕方がわからなくて駿に聞いてたわけ」

「嗚呼、そういう……」

「天候初日は学校案内とかもあるだろうって」

「意外と気が利くんだ」