「嗚呼、休めば良くなるよ」
「無理なさらないでくださいね」
「うん、大丈夫。あと、敬語はいらないよ。友達……だよね」
真黒な目でじっと梓を見つめてくる。
「あ。うん。……ジュースでも買ってこようか?」
「要らない。君がそばにいてくれるだけで良いよ」
さりげない甘い言葉に梓は照れる。本意は違うと思いながら。
もし神様がいるとしたら、彼に寿命を分けてやりたい。生まれながらの健康体の梓は大きな病気もせずにすくすく育った。
愛情も満ち溢れるほど受けて、いじめにあったこともない。一般的に見ても恵まれた境遇にいるであろう人間。高校も志望校に入り、友達もいる。
「……それにしても、周りの目が痛かったなぁ」
駿と同じ顔の義則が、注目を浴びないわけがなかった。すぐにひそひそばなしの対象になり、駿に質問する猛者までも現れた。